家族持ち社会人が予備試験に使えたのは、年400時間だけだった
予備試験の職種別データを見ると、社会人と大学生の短答式の合格率はほとんど変わりません。差がつくのはその先の論文式です。家族持ち社会人で年400時間しか勉強できなかった筆者が、どの時期に学習時間を集中させたか記載しています。
ギリギリ合格研究所
研究員
まずはじめに
司法試験の勉強時間として、よく大きな数字が挙げられます。実際に予備校各社の解説を見ると、3,000時間から1万時間という幅で説明されています。アガルートアカデミーは「3000~8000時間」とし、スタディングは予備試験6,000〜8,000時間に司法試験本試験1,800〜2,000時間を足した7,800〜1万時間という置き方をしています(いずれも各社の目安)。
この数字を、働きながら受ける人の生活に置き換えてみます。仮に3,000時間を1年で取ろうとすると、月250時間、1日あたり8時間を超えます。社会人にとって、これは無理です。
どういう状況にあるかにもよりますが、どんなに頑張っても1日3時間、つまり月100時間取れたら非常にすごいと思います。
筆者自身は結婚していて子どももいるため、そこまでの時間は取れませんでした。あまり勉強が好きではないので、年間を通してコンスタントに机に向かうということもできませんでした。
ですので、どういう戦略を立てるか、何をするのか、を必死に考え、不合格後に修正しながら進めました。
試験当日に書けなかったものは、勉強していないのと同じ
令和5年に予備試験を受けたときに気づいたことがあります。どんなに勉強しても、試験当日にその場で書けなかったものは、勉強していないのと同じだということです。
半年前に理解したはずの論点でも、当日に出てこなければ0点です。逆に、直前に詰め込んだものでも、当日に書ければ点になるのです。ここから、試験日に近づくほど勉強の量を増やしていく形にしたほうがいいのではないか、と考えるようになりました。
職種別のデータが示していたこと
この考えを補強する材料が、法務省が公表している職種別のデータにありました。
予備試験の受験者数と合格者数は、職種別に集計された形で公表されています。
そこから合格率を計算すると、次のようになります。社会人は、公務員・教職員・会社員・法律事務所事務員・塾教師・自営業の6区分を合計したものです。論文式の合格率は、論文式の合格者数を短答式の合格者数で割ったもので、短答式を通過した人のうち何割が論文式も通ったかを表します。
令和7年
| 区分 | 受験者 | 短答式合格 | 短答式の合格率 | 論文式合格 | 論文式の合格率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 社会人(6区分計) | 5,346 | 1,171 | 21.9% | 113 | 9.7% |
| 大学生 | 3,601 | 757 | 21.0% | 266 | 35.1% |
| 全体 | 12,432 | 2,744 | 22.1% | 457 | 16.7% |
令和6年
| 区分 | 受験者 | 短答式合格 | 短答式の合格率 | 論文式合格 | 論文式の合格率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 社会人(6区分計) | 5,350 | 1,147 | 21.4% | 95 | 8.3% |
| 大学生 | 3,659 | 770 | 21.0% | 281 | 36.5% |
| 全体 | 12,569 | 2,747 | 21.9% | 462 | 16.8% |
短答式の合格率は、社会人のほうがわずかに高いくらいで、ほとんど差がありません。ところが論文式になると、令和7年で9.7%対35.1%、令和6年で8.3%対36.5%と、3倍以上の開きが出ます。社会人が差をつけられているのは短答式ではなく、短答式を通ったあとの論文式です。
この差から気づいたこと
この差について、ネット上ではいくつかの分析がされています。よく見るのは、社会人は答案を添削してもらう機会が少ない、というものです。
ただ、筆者は別の見方もできると考えました。短答式を通過した時点でのレベルは、社会人も大学生もそれほど変わらないはずです。にもかかわらず論文式で差が開くのであれば、短答式が終わってから論文式までの期間に、どれだけ密度を上げられたかが差異を産み出しているのではないか、ということです。
これは筆者の解釈であって、因果関係まではわかりません。
ただ、学生の方が勉強に充てられる可処分時間が多いことを考えるとあながちはずれてはいないかもしれません。
実際にやった時間の配分
そこで筆者は、家族の理解も得たいと考えて、次のような配分にしました。
- 4月・5月・6月:月60時間から80時間
- 7月・8月:月100時間
- 論文式が終わってから翌年の3月まで:ほとんど勉強しない
短答式が終わってから論文式までの期間に最も時間を寄せ、その代わりに秋から冬にかけては勉強しない、というメリハリの付け方です。年間の学習時間はおおむね400時間でした。
この形で3回受験し、論文式の順位は令和5年が1237位、令和6年が827位、令和7年が59位でした。
まとめ
トータル2000時間以内で合格できたものの、予備試験合格に3年かかりました。
社会人だとしても、年間1000時間ぐらい割けるのであれば、2年で合格できるのではないか、という感触があります。
私は勉強嫌いもあいまって、2年での合格は無理でした。
参考
職種別のデータ(一次情報)
- 令和7年司法試験予備試験口述試験(最終)結果(法務省)の「参考情報」
- 令和6年司法試験予備試験口述試験(最終)結果(法務省)の「参考情報」
- 令和7年司法試験予備試験の結果について(法務省)
勉強時間の目安(予備校各社の解説。公的な数字ではありません)
- 司法試験合格に必要な勉強時間は?弁護士になるのに何年かかる?(アガルートアカデミー、2026年7月17日更新)
- 司法試験の勉強時間目安は8,000時間。その半分で合格する短期合格者の特徴とは(スタディング、2025年10月15日更新)
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